武漢由来の新型コロナウィルスの蔓延が大きな問題となっています。
感染拡大を防ぐためには人との接触を減らすのが最も有効と言われていますが、なかなか8割減を実行するのは困難です。
ここしばらく ”アマビエ様” なる妖怪の絵がインターネットを中心に流行しています。
何でも江戸時代に肥後国に現れて疫病の蔓延を予言し、自らの姿を描いた絵を人々に見せろと言い残して、海に帰っていった半人半漁の妖怪だそうです。
この伝承から ”アマビエ様” の絵を描くことや、造形物を創り出すことが広まっています。
神社の中にもアマビエにちなんだ授与品などを頒布しているところもあるようですね。
勿論、所縁のあるところであればそれで良いと思います。
さて、伊太祁曽神社としては、ここは ”アマビエ” ではなく ”武塔神(むとうのかみ)” のお話をしない訳にはゆきません。
武塔神のお話とは、『備後国風土記』に掲載されているお話です。
旅の途中で日が暮れてしまった「武塔」という名の神がいました。
その土地に住む兄弟に宿を求めた所、裕福な弟は申し出を断り、貧しい兄の蘇民将来は粗末ながらももてなしをしました。
何年か後に武塔神は8人の子供を連れて再びこの地を訪れました。そして蘇民将来の家を訪ね「腰に茅輪を提げるように」と伝えます。蘇民将来とその家族は言われるように行いますと、その夜、弟の家族は皆亡くなってしまいました。
武塔神は「私は須佐之男の神である。この先、疫病が流行るときは、蘇民将来の子孫だと云って茅輪を腰につけていれば、疫病にかかることはない。」と云いました。
お話のあらすじは以上の通りです。
武塔神とは、後に自ら須佐男神であると明かします。そして伊太祁曽神社の御祭神である五十猛命は須佐男神の御子神ですから、縁遠からずです。
その須佐男神が「蘇民将来の子孫として茅輪を提げていれば疫病から免れる」と言い伝えています。
この話から「蘇民将来子孫之家」や「蘇民将来之子孫也」と記した木札や御札を貼ったり、茅輪を玄関に掛けると、家族が病気をしない、転じて厄難除け、家内安全になるという信仰を持つ地域が日本各地に点在します。
伊太祁曽神社の夏祭り「茅輪祭」もこれに因むお祭りで、大茅輪をくぐることで自らの厄難を祓うことが出来、また当日頒布される小茅輪を持ち帰って家の玄関に掛けると家族が健康でいられるとされるのです。
新型コロナウィルス除けに、今から小茅輪を準備することは困難ですので、ご家庭の玄関に貼ってもらう「蘇民将来之子孫」と記した御札を奉製する準備を進めております。
近日中に、詳細を記したいと思います。
尚、頒布方法につきましても「密集、密接、密閉」にあたらない方策を取りたいと思います。
【写真】茅輪祭に頒布する「小茅輪」
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