さて、暦とお祭りの関係についても、今回が最終回、解答編です(笑)
1週間考えていただきましたでしょうか?
いやいや、大方の方はもう、前回読んだ時点でお分かりだったと思いますが・・・。
折角、1週間も引っ張ったのだから、解答編も読んでくださいね。
[0回]
神社における祭礼の多くは農耕儀礼、特に稲作に関連したものです。
それ以外の祭礼も、多くは自然に対する収穫の感謝、祈念に関連したものです。
したがって、例えば9月15日に行っていた祭礼を、新暦を採用したからといって、単純に新暦9月15日に行うことはできないのです。
そうすると、従来どおり旧暦で祭礼を続けるか、ほぼそれに近い日にちということで1ヶ月遅れに祭礼日を定めるかのいずれかが、妥当な案として出てくるわけです。
ところが、農耕儀礼などに関係ない祭礼は、そのまま新暦に移行しても差し支えはありません。
あとは携わる人たちの心情的な感覚だけです。
例えば、1月1日の 歳旦祭 は年が変わったことに対して行われる祭礼ですから、新暦になったら新暦1月1日に行わないと、祭礼の意義がおかしくなってしまいます。
しかし、これは旧暦1月1日に由来があると考えれば、当然旧暦1月1日に行う必要がありますし、場合によっては新暦2月1日という解釈もあるかもしれません。
勿論、歳旦祭は、どこでも新暦1月1日に斎行されていると思いますが・・・。
こういった要素がごちゃごちゃになり、また農作物の品種改良や技術革新によって、祭礼の時期の実際の収穫等のずれが生じたりして複雑怪奇な形になってしまったと、私は推察します。
ですから、祭礼日を新暦・旧暦どちらで行うのかということについての法則はありません。
新暦を導入した政府はいろいろなところで暦を新しいものに変えるように働きかけをしたと推察されます。
東京のお盆が7月なのはその影響でしょう。でも現実には、農耕儀礼と繋がりの大きな祭礼は旧暦が遵守され、実際にお祭りをする人たち、関わる人たちの間で取り決めて変容してきているケースが多いのだと思います。
新暦の採用から140年。祭礼日を変更した経緯を知らない人たちが更に変更する。そんなことも起こっています。
伊太祁曽神社の数ある祭礼のうち、旧暦で行うことになっているものが、何故そうなのか。
このあたりについては、まだまだわかりません。
先の長いテーマになりそうです(汗
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COMMENT
とても勉強になりました。
このところ、太陰暦カレンダーを使っている友人を多く目にします。
バイリンガルの方が複数の言葉を受け入れるように、暦についても、新暦と旧暦どちらも同時に受け入れられるようになりたいなと思いました。
暦を身近に感じながら生活してみたいと思います。
まるすぎ様